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快挙 / 白石一文

2015年08月14日 21:00



 一度の人生において出会えた事が奇跡的な快挙。その大切さに気付き、守るために主人公がした重大な決意。全てを掛けて守りたかったものは必ずしも純潔では無い。自分の弱さ、相手の弱さ、それを許す強さが美しい。

3.5点 / 5点満点

新興宗教オモイデ教 / 大槻ケンヂ

2013年05月17日 23:00



青春とは子供から大人へ成長する上での苦しみと喜びだ。
未成熟な者は未成熟なために自分の可能性を限り無く夢想できる。
そして実際、多くの可能性を秘めている。

彼らは自分のことや世の中のことを良く知らない。それだけに彼らはとても不安定な存在だ。
彼らの多くは生きていく中で自分がどんな人間なのか、世の中がどうなっているのか
徐々に知り、受け入れていく。そうして大人になる。

どこまで受け入れれば大人といえるのか、そもそも大人になるのが良いことなのか。
それには色んな意見があるだろう。
大人への反発。世の中への反発。常識への反発。自分への反発。
この小説には、そんな青春が描かれている。

内容は血みどろで、登場人物は全員狂っている。
話は伏線も無く行き当たりばったりで、終焉も唐突だ。
だが本作は、美しくも汚らしい青春を描ききっている。これで十分だ。

★★★★★★★☆☆☆

江戸川乱歩傑作選 / 江戸川乱歩

2011年07月30日 23:30

日本における推理小説・恐怖小説のパイオニアである江戸川乱歩の、
デビュー作を含む初期の代表作9編を集めた作品集。

41VW.jpg 1960年12月24日発行

01. 二銭銅貨
02. 二癈人
03. D坂の殺人事件
04. 心理試験← My Favorite
05. 赤い部屋
06. 屋根裏の散歩者
07. 人間椅子← My Favorite
08. 鏡地獄
09. 芋虫← My Favorite

この作品で感じた乱歩の魅力として、切れ味鋭い推理の筋と人間の怖さ汚さをどこまでもリアルに描く点が挙げられる。
二重の暗号を使ったトリックが披露される処女作「二銭銅貨」や天才過ぎな明智小五郎が
冷徹な犯人を、その冷徹さを逆手にとって罠にはめる「心理試験」等、前半の作品では直球の推理が楽しめる。
中盤の「赤い部屋」「屋根裏の散歩者」は推理小説としても読めなくもないが、
それよりも犯人の変態ぶりの描写が凄まじくそっちに関心がいく。犯人の行動は客観的に見ると異常だが、
犯人の心情を含めて話が語られていくので、妙に彼らの行動に納得してしまう。

後半「人間椅子」「鏡地獄」になると推理の部分はなくなり、完全に恐怖小説になっていく。
そして犯人(必ずしも事件を起こす訳ではないがここでは仮にそう呼んでおく)の異常性も前半よりも増していく。
これらの作品は人の狂気すれすれの変態性を描いた作品として興味深く読める。
キーワードも「屋根裏」「椅子」「鏡」と明確で、同じ変態でも色んなタイプが書き分けられている。

そして江戸川乱歩グロテスク趣味の極致と称される(巻末解説より)「芋虫」が最後に控えている。
戦争で四肢と聴覚を失い醜い肉片と化した傷痍軍人の夫と2人暮らしの時子は、
世間的には献身な世話をしている風であったが、陰では彼を蔑み玩具のようにもて遊んでいた。
世間から孤立した2人はどこまでもどこまでも堕ちていく。
ある夜彼女は、彼の瞳があまりに綺麗な事に動揺し衝動的に両目を潰してしまう。
後悔の後に必死に彼の胸に「ユルシテ」と指でなぞる彼女であったが、その晩彼は消え、惨劇が起る。

序盤はコテコテの推理小説で幕を開け、事件を通して犯人の変態性を丹念に描き、後半は人間の異常性が表現される。
傑作選というだけあり作品一つ一つの出来もさることながら、その流れが素晴らしい。
惜しむべきは一つの作品のページ数が30ページ程度と少ない為、特に後半の作品ではもっと読みたいと思ってしまう点だ。

★★★★★★★★★☆

儚い羊たちの祝宴 / 米澤穂信

2010年02月20日 22:00



★★★★★★★☆☆☆

ラスト一行でそれまでのストーリーをひっくり返す、オチに全ての力を注いだ連作ミステリ。
言うまでも無くオーバーな宣伝文句な訳で、そんなに鮮やかにそれらの大技が決まることは無いのだけれど、
最後の一行でとんでもない恐怖の反対を与えてくれた第三章「山荘秘聞」は中々の力作だ。
表向きはホラーミステリということになるのだろうけど、裏に隠れたユーモアが存在する作品。

贖罪 / 湊かなえ

2010年02月14日 20:00

minatoM020100214191647.jpg

★★★★★★☆☆☆☆

メガトン級の衝撃のラストが話題をさらったデビュー作「告白」が売れに売れた湊かなえの第三作目。
一作目から貫かれている全編を誰かの語りから構成させる作りは同じ。
少女強姦殺人事件の発生から、被害者の同級生だった事件の生き残りの4人の女性、
少女の母親、それぞれがそれぞれの償いをすることで悲劇はなし崩し的に広がっていく。
最初の事件とその他の事件の繋がりが不自然だし、
中盤までは盛り上がりを見せていたストーリーも後半から萎んでいき、何とも言えないラストを迎える。
真相に近づくにつれ期待値がどんどん下がっていく感じ。ちょっと期待し過ぎたかなー。


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