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ようこそ地球さん

2006年12月13日 04:23

ようこそ地球さん

ようこそ地球さん / 星新一
★★★★★★★★☆☆

今回紹介するのは星新一の短編集、ようこそ地球さんに収録されている、処刑という短編。

舞台は文明が発達し、機械が多くの役割を担っている未来の地球。
そこでは効率性を高めるため、 ほとんどの事が機械に管理されていた。
この世界では、宗教さえ無駄なものとされ一掃されている。
しかし無駄を省くためとはいえ、
機械に決められた事だけを繰り返す生活に堪えられない人間もいる。
機械はこのような人間を排除するために、彼らにある衝動を与える。 
結果、このような人は犯罪を犯すことになる。
主人公もこのような衝動に駆られ殺人を犯してしまう。

犯罪が起こるとほぼ100パーセント検挙され、 殺人の場合は例外無く死刑にされてしまう。
しかも、その処刑方法は変わっていて、 死刑囚はまず無人の惑星に連れていかれる。
そこには水も食料も無く、 囚人は銀の玉といくつかの赤い粒を受け取る。
その玉にはボタンが付いていて、 それを押すとコップに水が注がれる。
またそれに赤い粒を溶かすと、 それが一食分の食料になる。
しかし、その機械のボタンをある決められた回数押すと、
その機械は爆発し、囚人は即死してしまう。
つまり、この星で生きていくためには、
死の恐怖に怯えながらも、 銀の玉のボタンを押し続けなければならない。

主人公は何度も死を覚悟し、 銀の玉のボタンを押していくことになる。
銀の玉は主人公の心境によって様々な表情を見せ、 語りかけてくる。
途中、他の死刑囚に会ったりする事があっても、
皆主人公と全く同じ状況で、何の解決にもならない。
ついに主人公は耐えられなくなり絶叫してしまう。
地球での、またこの惑星での苦悩を全て吐き出すかのような絶叫。

しかし、主人公はあることに気が付く。
今のこの惑星での生活が、地球でのそれと全く一緒だという事を。
死というものはいつ訪れるかわからない。
そして、あの機械に管理された地球で毎日を生きるという事は、
死の原因を作り出しながら、 その瞬間をたぐり寄せているという事なのだ。
ここの銀の玉は小さく、そして気になる。
地球のは大がかりで、だれも気にしない。
それだけの、ちがいだったのだ。

その事に気が付いた主人公は、
何のためらいも無く銀の玉のボタンを押すことが出来た。
そして、自分が酷く汚れている事に気が付いた主人公は、 浴室に向かう。
風呂の中に銀の玉をかかえてすわった主人公は、
リズムをつけ、歌をうたいながらボタンを押しつづける。
主人公は地球の文明に、仕返しできたような気がしたのだった。
風呂の水はどんどん溜まり、ついにはあふれだす。
主人公はいままでの長い灰色の時間から解放されたのだった。

「地球から追い出された神とはこんなものじゃあなかったのだろうか」


コメント

  1. くそぼーず | URL | -

    今日はどのCDだろうと思って見たら
    びっくりしました(笑)
    星新一面白いですよね!
    僕もかなり大好きです。
    さすがショートショートの帝王。

  2. taill | URL | -

    今までひたすら日本語ラップのレビューしてきて、
    いきなり小説のレビューするのはどうかと思いましたが、勢いで載せちゃいました。
    うちは基本はもちろん日本語ラップですが、たまには他のものも扱うので。
    処刑は星新一の作品の中でも一番好きです。

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