--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

思考の整理学

2010年04月30日 23:30


思考の整理学 / 外山滋比古
★★★★★★★★☆☆

今から20年以上前に発表された「思考すること」について考えた作品。

考えることを、既存の知識を吸収し整理する事と、与えられた知識から新しい発想を生み出す事の2つに分ける。
学校教育は前者に偏ってきたとし、より生産性の高い存在になる為に後者を鍛えるべしと説く。

その方法を主に経験法則に基づいて語っていく本作で気になった箇所が、情報をメタ化するというもの。
具体的な知識の中からその本質となる要素を抽出し、他の情報から抽出した要素とまとめていく。
情報としての質が高まるにつれて、その内容は抽象化していく。
これが情報のメタ化であり、これらを使って新しい発想を生み出す。

筆者が引用した発想でも気になったものが。
作品に向けられた解釈は、そのどれか一つが正しいのでは無く全て正しいというもの。
作者の手から離れた作品は受け手から様々な解釈がなされる。
それは作者の意図するものだったり、そうで無かったりするが、その全ての考えがその作品を構成しているという発想。

具体例がひとつ。
ガリバー旅行記は元々は政治風刺だったが、時が経ちその要素は無くなったことで世界へ読者を広げていった。
作品は作者が作るのでは無く受け手が作るのだという発想。

作品の評価は受け手が決めるのであり、また長い長い時が決める。
そういう風に考えるとたかだか10年20年前の作品、
まして発表されたばかりの作品をクラシッククラシックと騒ぐHIPHOPの文化は自戒も含めて変だ。
クラシックには古典という意味に加えて秀でたという意味もある訳だけど。
物事を本当に評価するには時間がかかるのだろう。

経験法則に基づいた記述が多いので、内容によっては頷けないところもあるけど(貴重な朝を長くする為に朝食を抜け!とか)
20年前に書かれたとは思えないフレッシュさを保った、これからの時の試練にも耐えるであろう作品だ。
スポンサーサイト

D.O.P.E. / DOPE BOYS

2010年04月24日 23:30

 2010年3月31日発表作品

01. D.O.P.E. (Dream,Offensive,Power,Expression)
02. DOPE BOYS In The Hood
03. Music Junkie
04. D.O.P.E. (Death Of Public Enemies)
05. Shut Up!!
06. D.O.P.E. (Dark On Players Emotionless)
07. Party Like A DOPE STAR
08. D.O.P.E. (Drive Off,Pass Everything)
09. In The Club
10. Ohhhhh S***!! (DOPE BOYS Remix)
11. I’m The BOSS feat. AKIRA
12. City Circuit feat. AKIRA, DABO, DELI, EL LATINO, G.CUE, Mr.OZ, RYUZO
13. H.O.P.E. (Hear Other People’s Experience)



EQUAL名義のミニアルバム「DOPE BOY」からのスピンオフ・ユニット「DOPE BOYS」による1stアルバム。
構成員はEQUALに加えて、BALLERS所属のM.O.S.A.D.直系のG.B.L.(10C&STEALER)と
BIGG MAC所属の人懐っこい歌声が魅力のCITY-ACE、ドープなボイスを駆使するDEEP KAVARからなる。

グループの存在を知った時の印象はEQUALがまわりの後輩を適当に集めて作った即席グループといった所で、
ZEEBRAがOJ&ST辺りとグループを組んだイメージで全く期待感は無かった。
だがEQUALの6thアルバム「SWORDFISH」収録のM-4を聴いてDEEP KAVARがちょっと気になったのと、
もともとCITY-ACEが好きなのと、2000円と安かったこともあり手に入れてみた。
以前BALLERSが出したEP3枚組みBOXが6000円近かったのに比べて値段が3分の1へ。デフレだ。

聴く前の予想通りUSメインストリームマナーに則ったビートの上で、イケてるHIPHOPを再現すべくメンバーがマイクを回していく。
それぞれの曲にトピックが用意されているが、メンバーが5人いる上、リリックに英語を適当にぶち込む者が多いこともあり、
歌詞にまとまりを感じず、それぞれが言い捨てスタイルで言葉を重ねていく。

DEEP KAVARはSHIZOOに似た黒人的な厚みのある声が魅力だが、適当に英語で誤魔化してる印象でフロウの幅も狭い。
本作のアクセントの役割を果たしてはいるけどスキルはあんまり無い。
CITY-ACEの引き出しの多い歌声は本作のプラスポイント。フックを歌うのでは無く、あくまでバースの一つを歌うのは新鮮だ。
G.B.L.は以前よりスキルが上がっているがあまり印象に残らない。
EQUALは色んなフロウを駆使し美味しい所を持っていく。この面子だとスキルが高く感じる。

カラフルなビートの上で、それぞれが華やかなHIPHOPを再現していく。
EQUALの最新作「SWORDFISH」と同じで期待しないで聴いたら、結構良かったという一枚。
歌詞にそんなに意味が無い曲が多い本作でも、知り合いの有名ラッパーをかき集めた感のある、
12人でマイクリレーをかますM-12の歌詞の中身の無さは凄い。
フロウ最優先で人によっては効果音みたいなリリックを放ってくる。ミクスチャーちっくで曲自体は結構カッコ良いけど。
ラストM-13では情緒あるトラックの上でEQUALのマイブームのしみったれな一曲を聴かせてくれる。良い曲です。

[ 続きを読む ]

アリス・イン・ワンダーランド

2010年04月21日 21:30


アリス・イン・ワンダーランド / ティム・バートン
★★★★★★☆☆☆☆

ティム・バートン&ジョニー・デップのコンビによる、ルイス・キャロル原作「鏡の国のアリス」の13年後を描いた作品。
ディズニーが巨額の制作費をつぎ込んだ超大作映画だ。

頭のでかい赤の女王や卵みたいに太った兄弟、ジョニー・デップ演じる赤髪で顔面真っ白なマッドハッターに神経質なウサギと、
アリスが再び迷い込んだワンダーランドには彼女を除いてまともな姿をしたものがおらず、その世界観は非常にカオスティック。
ちょっと変なのものに惹かれる自分みたいなタイプの人間には見てるだけで楽しい映画だ。

しかしファンタジー映画によくあるように、ストーリーが予定調和のレールを1ミリ足りともずれずに走っていき、最後まで行ってしまう。
物語に出てくる予言の書に記された勇者が記されたタイミングで悪を滅ぼす。序盤に結末が語られ、そのまんまの結末を迎える。
巨額の制作費で作り上げられた世界観は「アバター」に匹敵する魅力を持っているが、お話自体は端的に言うと酷い。

また、恐らくは言葉遊びをしているであろうと思われる台詞が散見されるのだが、
翻訳がそれを生かせてなく、何だかよく分からない感じになっている。
アリスがもとの世界に戻ってからの行動は素敵だし、嫌いな作品ではないのだが、とてもじゃないが面白い映画とは言えない。

Dream and Drama / ANARCHY

2010年04月15日 21:00

 2008年9月10日発表作品

01. Awakening
02. Composition of Pain
03. Fate
04. Blood In Me
05. 60 Bars Dream
06. Interlude
07. Drama King feat. Tina
08. Forbidden Fruit feat. Hirom Jr.
09. Devil
10. Rock Star feat. Tina
11. Better Tomorrow feat. Hirom Jr.
12. My Words
13. Sky Limit

mic02.gif

前作から2年振りとなる2ndアルバム。
インディーズながら「ROB THE WORLD」が成功を収めたのはANARCHY自身の実力もさることながら、
故TOKONA-Xを含む豪華な客演や国内外のプロデューサーを呼んだりしたレーベルのお膳立てによるところも大きかったと思う。
前作は勝ち上がる為にアルバムを売る為に、キラーチューンが意識的に配置されていた。
ANARCHYの魅力の核となる底辺からの成り上がりイズムを歌った曲、US HIPHOPマナーに則った曲、
歌詞の内容よりもラップのインパクトやフィーリングを重視した曲を織り交ぜ、
リアルという軸をぶらさずにアルバムを聴かせる仕掛けを大量に放り込み、ハードコアHIPHOPをエンターテイメントさせていた。

1stとしてやらなければならない事をやりきった前作に続く本作は、
ANARCHYの作品の軸であり、彼が音楽活動をする原動力でもある「夢」を扱った極めてコンセプチュアルな一枚だ。
収録された曲は切り口は違えど夢に関するものばかり。
女やブランドについて歌っているM-5も、成功して自分と周りの人間(この場合は大切な女性)を幸せにするという彼の夢を歌った歌な訳で…。
前作や客演で見せていたインパクト重視の瞬発力のあるフロウは封印され、リリックを聴かせる為にプツ切りで言葉を放り込んでくる。
フロウを楽しむ部分は少なく、聴き手はANARCHYの言霊とライミングに正面から向き合うことになる。
一曲を除くと全て海外プロデューサー製作のビート群も最低限の展開のみをするループトラックが揃い、
客演ラッパーもゼロとかなりストイックな作品だ。

M-2の「アメ車に飛んでくおとんの給料 かっこつけた分家じゃカップヌードル」、
M-7の「夢の中両脇レディーズ 目覚めは作業着のままディッキーズ」等、
カッコ悪い事をカッコ良く歌うANARCHYの伝えたい事が詰まった本作を気に入るかどうかは、
彼の歌詞に魅力を感じるかどうかにかかっている。
HIPHOPど真ん中なANARCHYを一切薄めずに作品化した本作は単調な所もあるのだが、
メッセージとパッションとライムと必要にして十分な骨組みのみで構成され、恐ろしいまでにHIPHOPを感じる作品だ。
特に、女性ボーカルをサンプリングしたド定番のビートの上で故郷の現実と彼の生き様を鮮明に切り取ったM-3は、
前作収録の名曲「Growth」を早くも更新したクラシックだ。
[ 続きを読む ]

ソラニン

2010年04月13日 23:00

soranin002.jpg
ソラニン / 三木孝浩
★★★★★★☆☆☆

※本レビューには重大なネタバレが含まれています。

浅野いにお原作の同名漫画の映画化作品。宮崎あおい・高良健吾主演。

キャスティングに関して、割と良かった。特にベースの加藤役の近藤洋一(サンボマスター) はハマリまくりで、
原作のキャラクターはこの人がモデルなんじゃ無いかって位。
ただ主演の高良健吾はイケ面過ぎて、原作とはイメージが違う。
原作の主人公はどこにでもいそうな普通の男の子だったのに、俳優がこんだけカッコいいと
場面場面の印象が原作と比べ歪められてしまう。

細かな違いはあるものの基本的に原作を忠実に映像化していく。
漫画の流れをそのまま脚本におこしてるだけなので、映画的なメリハリが足りない。
それと一つ原作と決定的に違う点がある。それは種田の死の解釈だ。
原作ではぼかしつつも自殺だと描いているのに対し、映画では事故死に取れるようになっている。
原作では赤信号でバイクで突っ込んでいるが、本作ではバイクが渡る直前に黄から赤に変わっている。
また種田の最期の台詞が「今日は空が高い」から「早く帰ろう」に変わっている。

自殺か事故死かで本作の意味合いは全然違ってくる。事故死の方が話は単純な訳で…。

種田の死の解釈の改変は大いに気に入らないけれども、それは原作あっての話の訳で、
本作を単体で見た場合はちと間延びしてるけれど悲しくも美しい青春を切り取った素敵な作品だと思う。

主題歌のソラニンは原作の歌詞を再現するためにアジカンの持ち味が殺されている印象があって、
エンディング曲のムスタングの方が耳に残る。


最新の記事


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。